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石田幹之助「長安の春」・・・Elsa Leroy







西域好きなら知らぬものはない名著。

西域物を多く書いた井上靖さんの文章で、その一端が伺えるはずだ。

いくつかの篇ごとに国際都市「長安」を描きながら、流入したペルシャ文化とそれをもたらした胡人(ペルシャ系ソグド人)との関わりに多くの文章を割いている。

常に手元に置いて、折にふれ紐解く本は数少ないが、その数少ない本のうちの1冊。

何が素晴らしいかと言うと、西域との関わりもそうだが、それ以上に先生の格調高い文章に陶酔してしまうからだ。

たとえば本のタイトルにもなった「長安の春」の冒頭から抽(ぬ)きだしてみると、




陰暦正月の元旦、群卿百寮(ぐんけいひゃくりょう)の朝賀とともに長安の春は暦(こよみ)の上に立つけれども、元宵観燈(げんしょうかんとう)の節句のころまでは大唐の都の春色もまだ浅い。立春ののち約15日、節は雨水に入って菜の花が咲き、杏花(きょうか)が開き、李花がほころぶころとなって花信の風もようやく暖かく、啓蟄にいたって一候桃花・・・・・・・


天を覆う槐樹(かいじゅ)や楡(にれ)の並木道には樹立(こだち)の蔭も日に濃(こま)やかに、爽やかなプロムナードに淡い疲れを感じた都人士(とじんし)の姿がーー肌ざわり新たなる軽衫(けいさん)にやや汗を覚えた子女の姿が、このあたりにしばらくの憩いを求むるか、三五参差(しんし)として引見するような初夏となる。ここに長安の春は尽きて詩人は逝(ゆ)く春の歌を唱(うた)い、惜春の賦(ふ)を作る。

「三五参差」だけ説明すると、「参差」は入り混じるさまを言うので、ここでは「三々五々、入れ替わり立ち替わり」くらいの意味だと思えばよい。


こんな格調高い文章を目にすると、ボクのような浅学菲才の身には如何ともし難い。
文筆家になるのを諦めて、駄洒落道に邁進した理由だ(笑)


槐樹(えんじゅの木のことです)や楡の並木道、って箇所にびっくりする人が多いと思うが、中国では周代から並木が植えられ、戦国時代には並木道が整備されていて、槐樹と楊柳(ようりゅう)が本格、次位が楡の木だった。

始皇帝以前の中国は、ギリシャ同様都市国家だったので、ギリシャのポリスもそうだったのかもしれないが確かめたことはない。

日本でも、遣隋使や遣唐使を派遣して中国の文物を盛んに輸入していた奈良時代や平安時代から始まると言われているが、中国のように都市の大道に植えるというよりは、街道筋が主だったようだ。

並木の歴史に興味のある人は、明末清初の大学者、顧炎武の「日知録」巻十二、官樹の条に詳しいそうなのでそちらを参照してください。



さてさて堅苦しい話が続いたので、桜で息抜きしましょう。

今日お届けするのは街路樹の桜です。

満開の木もあれば5,6分咲きの桜もあって、今年の桜は都内のように一斉というわけではなさそうだ。






















今日もおフランスから行きましょう。

シェルブール出身の Elsa Leroy は66年に1枚のEP盤を残している。

1曲を除いて3曲はカヴァーだが、Beau Brummels の Just A Little を演っていてとてもいいのだ。



彼女はこのあと、ファッション雑誌の編集者を経てパリの街で店を構えた。

66年、このレコードの前か後かはわからないが、ゴダールの「男性・女性」に役者として出演している。端役のようだが。
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コメント

No title

じっくり読み込みたい本ですね。
井上靖氏が解説とは!豪華!

桜キタ――(゚∀゚)――!!
やはりいい!もっとのっけてもいいよ♪

彼女、やりたいことを全部やったみたいな感じでいいですね。
私もそんな生き方したいなあ

No title

Irisさん、この先生自体が大学者なんですよ。
講談社学術文庫か東洋文庫で手に入るので、じっくり読んで酩酊してください。

桜、今週一杯楽しめそうなんです。

この人、おっしゃるようにやりたいことだけやったみたいですね。
幸せな人なんだろうと思います。

No title

青空なのに、、、
風の冷たい寒い1日でした。( TДT)
でもやっぱり桜🌸見にいっちゃいましたー。(笑)
都内は今週末まで持ちそうにないので、
バラバラに咲く桜は長ーく楽しめそうで羨ましいです。( ≧∀≦)ノ

No title

addisonさん、こっちは昼間はぽかぽかだったんですよ。
桜も一気に開いたと思う。
夜になったら急に冷えてきたので、桜は長持ちします(笑)
青空の下で見る桜はやっぱり綺麗ですよね~
うっとりします。
そう、ホントに今年の咲きかたはばらばらなんですよ。
もう終わった木もあるのに、これからの木もあるし。
なんか変。
最後の写真、このあいだアップした部屋から見える桜だけど、アップした左側の桜は散り加減、替わって右側の桜が開き始めてるでしょう。

都内は今週一杯かな??

No title

難しい・・( ̄Д ̄)
頭のレベルの違いをまた見せつけられた

こんないい写真にナイス押せないとか不満だ~

No title

Elsa Leroy は、雑誌Mademoiselle âge tendreのコンテストで、トップに選ばれているのですね。

それで、ゴダールの映画に出演したらしい…
雑誌の「Miss 19」役なので、ほとんど素だ…ジャン・ピエール・レオに、戦争や共産主義について、質問されて困っています…

Masculin fémininは、1965年撮影、1966年4月の封切りなので、EPはその後でしょう。

李賀の詩には、長安の寂しさがよく歌われているのを思い出した…

No title

じむこさん、馴れないと難しく思うかもね。
格調高いということだけは分かったでしょう~それでいいんです。
写真、気に入ってくれたんだ~嬉しいなあ~
お気持ちだけで十分ですよ~

No title

こんばんは〜

お〜!桜の写真、雰囲気良いですねぇ〜!この小川は紫陽花寺のところですか?

あ〜鎌倉行きたいなぁ〜〜。

砂浜をのんびり散歩しながらデートしたいよーー!

いつか、ブロ友で集まれれば良いのにね〜〜

No title

weirdさん、この映画を観てないので知らなかったけど、そんな役だったんですか。
そうか~つい封切り年と同じに考えてしまうけど、撮影はもっと前ですよね。

おっ、李賀を読んだことがあるんですね。
「長安春望」を読んだのかな??
唐詩選に収録されてます。
ボクは漆山天童こと又三郎先生の注解で覚えたけど。

No title

umeさん、今日は天気が良かったから桜が映えますね。

この川は、扇ガ谷から流れてきて、ず~っと暗渠になってるんだけど、農協市場のところで顔を出し、滑川に合流します。
ホントにみんなでお花見したいですよね~

No title

weirdさん、訂正。
漆山又三郎じゃなくて又四郎です(苦笑)

戦後の岩波文庫は、前野直彬先生に代わっているので、そちらのほうですか??

漆山天童には面白い逸話があって、若い頃、この方面の大家、幸田露伴先生を熱海に訪ねて行ったそうです。
海沿いを歩いたら、海を見て、探していた北斎の「青」が見つかったと感動のあまり初期の目的を忘れてそのまま帰ったという話が残っています。
変な人だというのは戦前の「唐詩選」を読み始めたとき、分からない言葉の注釈を読むと「眼光紙背に徹すべし」とのみあって、肝心の中身は何も書いてないことがあり、最初は閉口しました(笑)
今となってはいい思い出です。

No title

李賀は、角川版の比留間一成訳で最初読んだ…70年代に出た一冊で、手ごろな入門編でした。

「京城」の秋の寂しい長安、「出城寄権璩楊敬之」の都を旅立つときに、花吹雪が顔を撫でていく様子等、記憶に残っています…

No title

> sho*ha*ng*5さん

桜、ナイスですね}

これからもよろしくお願いいたします

No title

weirdさん、午前中桜撮りに出かけたので返事が遅くなりました。
角川版ですか?
その本は記憶にないです。
ボクは岩波の「中国詩人選」に頼りました。

しかし数ある詩人の中から李賀を選ぶとは、若いときから全然ぶれてないですね。
一度酒を酌み交わしたら楽しいひと時を過ごせそうです。
その詩だと2行目の「宮花払面送行人」がすらすらでてきます。

No title

まりっぺさん、さっきまで桜の写真を撮りに出かけて、今帰ってきたとこなんですよ。
来週頭まで桜狂いが続きそうです(笑)

ナイスボタンは亡くなったけど、ナイス有難うございます~

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マイナーな60年代ビートミュージックと駄洒落、読書レビュー。

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