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アナトール・フランス・・柱頭行者・・・Fire And Ice - Music Man

前回、ネストリウス派キリスト教徒のウィグル人のことを書いた。

20年後くらいの公会議で、異端とされたヤコブ派(シリア正教会)のキリスト教はやはり東方世界に伝播した。

ただし、こちらはイランを越えてまで広まったかどうかははっきりしない。

何故こんなことを書くかといえば、「柱頭行者」に触れたいからだ。

正統派教会の人で、シメオンという行者が4世紀末から5世紀半ば過ぎまで、柱の上で暮らして修行し、ヤコブ派にこの伝統が受け継がれて、柱頭行者が多かった。

柱の上だから、座るほどのスペースしかなく、雨に打たれ、雪をかぶり、風に吹かれて座禅を組みながらお祈りをしていたんだと思い込んでいた。



この記事を書くため、念のためにとぐぐったら、ネットに記述があった。

記事によると高さ18m、頂上部は4m四方の広さがあり、そこに小さな小屋を立てて雨風を防ぎ、お祈りを続けていたとあった。

イメージが随分狂ってしまったが、ま、いいだろう。

イコンに描かれたシメオン。
















シメオンが修行した柱は現在も残っており、跡地に建てられたシリア北部のシメオン教会がそうだというのだが、写真を見ても、どれがその柱だか分からない。









シメオン教会。















で、今日の本題だ。

ボクが柱頭行者のことを知ったのは、アナトール・フランスの「舞姫タイス」を読んだからだ。

この中に、シメオンを模した柱頭行者が出てくる。

高校時代の話で、贅肉をそぎ落とした端正な文章(訳文)にすっかり魅せられたので、戦前、白水社が刊行した全集を5,6冊くらい古本屋を駆けずり回って手に入れたのだけど、どれもこれも全部忘れてしまった。

書庫に入ったら「舞姫タイス」は見つからず、短編集2冊と、長谷川巳之吉の第一書房刊1冊しか探せなかった。

長谷川巳之吉の第一書房は総革装、限定330部の日夏耿之介詩集(全3冊)を刊行したことで知られていて、最近調べたらたったの55万で売られていた。
ボクの学生時代は80万くらいしたと記憶してたんだけど・・古書価は大暴落してるからなあ~
ボクも学生時代に無理して1冊買ったけど、参っちゃうよなあ~~~


話を元に戻すと、アナトール・フランスは戦前、日本のみならず、世界中で大評判だったらしいが、日本ではもう名前さえ忘れられただろうとぐぐったら、あにはからんや、何冊も新刊書が出ている。

ちょっと驚いた。



何もかも忘れたままで本の話を書いても馬鹿にされるだけなので、短編集の1冊だけ読んでから記事にすることにした。

やっぱり素晴らしいとしか言いようがない。

短編集第1巻の冒頭は「バルタザール」で、イエスが誕生したとき、祝福に駆けつけた東方の3博士のひとりだ。

作者は、バルタザールはエチオピアの王で、サバ(シバ)の女王に一目ぼれしたけど、女王の心変わりで、失意のうちに故国へ帰り、彼女を忘れるために天文学に打ち込んで星が語るのを聴き、乳香をささげるためにイェルサレルムに出かけるという話になっている。

「世の中には説明できないものが沢山ある」
「女の心変わりだ」

なんて文章は今の世の中でもドキッとする読者が多いと思う。


「リリトの娘」では、敬虔なキリスト教徒で結婚を控えた若い主人公が、アダムがエヴァ以前に娶っていたリリト(そういう説がある)の娘(不老不死だから若い女性)に恋をし、破滅する話で、エヴァンゲリヲンの第2使徒リリスはここから持ってきたので、訳が分からんという視聴者が多かったのも頷ける。




ラファエル前派の画家、英国のジョン・コリア描くリリト。
















白水社が戦前に刊行したアナトール・フランス集は、ボクにとっては貴重本。

製本段階で、天も小口も地も綺麗にカット(化粧断ち)していないアンカット本、いわゆるフランス装ともいわれる造本(厳密には違うが、専門家でない一般読者にはそれでいいのだ・・笑)。

9ポ活字だけど行間が広いので、とても読みやすい。

もちろん、旧字旧仮名だけど、ボクにはこのほうが美しく思えるので読みやすい。







2冊の短編集表紙。










第1巻の扉。










目次。

錚々たる先生方の名前が並んでいる。










本文。

右に置いてあるのは、刊行の辞を寄せた小冊子。










化粧断ちしていない天と小口。









巻末広告。










奥付。

昭和14年9月25日発行。

定価1円50銭。


















第1書房刊の表紙。











表4.

ウロボロスがこの社の特徴を現している。










奥付。

昭和7年10月20日発行。

定価1円。












映像が楽しいのでどうぞ。



45cat を見ると、この曲のリリースは69年。投稿欄の67年というのは映像のことかな?? 分かりません。
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コメント

No title

こんばんは(*^^*)
第1刊の扉、版画のようで
色合いとデザインがいいですね。
内容が大切かもしれませんが、
手にした時、まじまじ見入るような美しいデザインの本は、所有していて嬉しいですよね🎵

No title

フランスの「エピクロスの園」(岩波文庫版)の中の「人生はむしろ広大な陶器製造所に似ている」のくだりは印象深いです。

壊れて一度も使われずに終わる陶器もあるし、「それ以外の器は馬鹿げたことや嫌悪を催させるようなことにしか用いられない。そうした壺が私たちである」

懐疑主義者フランスのエッセンスのような文章で、芥川や星新一が影響されたのがよく分かる…

寓話「ペンギン島」も皮肉が冴えていて、面白い。

Frank Papeの挿絵がいいので、無理して買ったことも…
https://beautyofthrift.com/2017/06/07/1929-edition-of-penguin-island-by-anatole-france-illustrated-by-frank-pape/

No title

addisonさん、名前がないので分からないんだけど、誰かなの或る人の木版画かもしれないですね。
愛書家というのは、全くおっしゃる通りなんですよ~
だからいろいろこだわるんです。

ナイス有難うございます~

No title

weirdさん、この「ペンギンの島」の絵はいいですねえ~!
29年版とあるけど、新版もあるんですか??
それなら欲しいですね。
29年版は高額だろうから・・。

「エピクロスの園」は読み返してないので、その箇所もいまは分かりません(全く覚えない)。
芥川龍之介が傾倒してたのは有名だけど、星新一もですか~!
それは全く知らなかったなあ~

No title

星新一は、アナトール・フランスの『鳥料理ロオヌ・ベドオク亭』を借りて、気に入り、「短編については白水社版の全集をそろえ、愛読するにいたった」そうです。

「それは、いまの私の作風に、なにがしかの影響を与えているはずである。正直なところ、モーパッサンよりも好きである」とも。

「ペンギン島」には、英訳版でもいろいろあり、
Heritage Press – Penguin Island by Anatole France (1938/1947)

https://georgemacyimagery.wordpress.com/tag/malcolm-cameron/
です。
この普及版(青い表紙)の方は安く入手しました。モノクロながら、Malcolm Cameron の綺麗なイラストです。

Frank Papeは、「タイス」の挿絵も描いています↓
https://theartstack.com/artist/frank-pape/endpapers-for-anatole-france-s-thais

No title

これは中の作りも挿絵もステキで、欲しがるのがわかるような本だわ~('∀`)
キリスト教や創世記や神話なんか悲話で終わるような中にも美しさや愚かさを感じるけど、これも面白そうだしリリトの娘も素敵な絵があるのね~♪
その後の紹介の楽しい曲がshoさんらしいわ('∀`)

No title

シメオン行者凄いですね~国が違うと修行の方法や考え方もかなり違いがあるんでしょうね^_^
ナイス!

No title

weirdさん、星新一は白水社の短編全集を全部揃えたんですか~すごいな~
全16巻のうち、10巻は戦前に、残りの6巻は、戦争が終わってから刊行されたそうです。

紹介の Heritage Press 版、革装でいかにも高そう。
しかし欲しい1品ですね。
見つけても今のボクには買えないだろうから、普及版を探してみます。

「タイス」の挿絵よりも「ペンギンの島」の挿絵のほうが魅力的ですね。

No title

joeyさん、この第一短編集を読む限り、キリスト教や創世記や神話に材をとった作品が多いです。
その辺がボクの好みでもあるけど。
ジョン・コリアの「リリトの娘」、素敵な絵でしょう~モデルの女性は、年下の2番目の奥さんかもしれないけど・・

ナイス有難うございます~

No title

ゴールドさん、だるまさんの8年の座禅にびっくりしてたけど、シメオンは人生のほとんど全部を柱(塔)の上で過ごしたわけだから、上を行ってますね。
びっくりものです。

ナイス有難うございます~

No title

> sho*ha*ng*5さん

いつもと違う
マジなsho*ha*ng*5さんを
見させていただきました。

紹介ありがとうございます。

No title

まりっぺさん、いやいや、もともとが子供時分から読書狂いだったから。

No title

高尚すぎてついていけません
シメオン協会、ステキですね~!

No title

じゃむとまるこさん、シメオン教会、写真をよくよく見ると、現在は使われておらず、遺跡のようですね。
ジョン・コリアの絵に反応するかと思ってました~

ナイス有難うございます~

No title

まこちゃん さん、ナイス有難うございます~

No title

ケビン さん、ナイス有難うございます~

No title

チロル さん、ナイス有難うございます~

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Author:showhanng55
マイナーな60年代ビートミュージックと駄洒落、読書レビュー。

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