FC2ブログ

記事一覧

国枝史郎「八ヶ嶽の魔神」桃源社版・・・・Moody & The Deltas /The Searchers










国枝史郎の面白さは、奇想が奇想を呼び、果てしなく広がって収拾がつかなくなることだけど、彼の3大傑作の中では珍しく完結した作品だ。

物語は平安時代、諏訪湖近くにあった城主とその弟が一人の女をとり合うところから始まる。

女は城主(兄)の婚約者だが、彼女が愛しているのは弟の方。

兄弟は決着をつけるべく、湖に乗り出して14年の歳月が経つ。

女は年の離れた妹(と称しているが、実際は弟との間にできたわが娘)と暮らしているが、14年後、兄が弟を滅ぼして帰ってくる。

悲嘆した女は自決。

14年間思い続けてきた婚約者は弟との間に不義密通の娘まで設けていたことを知り、兄は世を呪い、城を捨てて八ヶ嶽山中の窩(あなぐら)に住まう。

彼を慕っておいおい人々が集まり、1集団を形成するが窩に暮らすのを旨(むね)とするので窩人(かじん)と呼ばれるようになる。

下界の人間との婚姻を禁じるのは集団の不文律だ。

数百年を経て、天宝の頃、下界の行商人で悪人が村長(むらおさ)の美しい娘をたぶらかす。

彼の本当の目的は、窩人の始祖、宗助(兄の名前)神社の神像がまとっている黄金でできた鎧を盗むことだ。

首尾よく鎧を盗み、村長の娘を捨てて町に逃げる。

娘は男子を産むが自分が捨てられたことを知り、復讐を誓ってわが子に呪いの印(歯型)をつける。

数年後に娘は亡くなり、男子は山の動物たちを友とする。

たまたま高遠家の家老がこの地を訪れた際、男子に会うと、夭折したわが子の魂が男子に宿る。

精神転換だ。

弟との間に産まれた娘の子孫は、これも他世界の人々とは交わらぬ「水狐族」となって、父(弟)の仇の窩人とは仇敵の間柄となっている。

泥棒は盗んだ黄金で大金持ちとなり、高遠の城下で暮らしている。

彼に美しい娘があって、家老の息子となった主人公とは相思相愛の仲になる。

しかし、実を言えば2人は異母兄妹だ。

一体どうなるんだ~と心配したが、それ以上進展することは無く、娘はいつのまにか物語から姿を消してしまう。

このあたりが国枝流なんだろう。

高遠の殿様には、江戸の愛妾との間に2人の男児があって、これが跡取りだ。

殿様の弟は2人の子供を殺して自分の子供を跡取りに据える策謀をめぐらしている。

お家乗っ取りだ。

片棒を担いでいるのが元泥棒。

主人公の活躍で下の子の暗殺を阻止し、2人の悪党は主人公の手にかからずして滅びる。

つまり父親殺しを作者は阻止したのである。

代わりに、作者は、呪われた主人公に辻斬りをさせる。

かと思えば、江戸に散った窩人を集めて、八ヶ嶽に帰って暮らす役割を与える。

最後の最後に、作者は現代(大正13年)に飛び、窩人のことを明治になってからは「山窩(さんか)」とい言うようになったと記している。

この小説の最後が発表されたのは大正15年7月号。

三角寛の仕事によって漂白の民「山窩」が広く知られるようになるのが昭和7年。

国枝史郎の早さに驚くばかりだ。


















金木犀のつぼみ。

明日あたり咲きそうだ。





青紫蘇の花。














Moody Scott は44年にルイジアナのハモンドで生まれた。

ゴスペルグループでそこそこの成功(ローカル)を収めた後、女性3人(うち2人はファミリーネームが同じ Hawkins なので姉妹だと思うが)と Moody & The Deltas を結成。

Leiber と Stoller の Red Bird のサブレーベル Daisy から Jeff Barry と Ellie Greenwich のペンになる Everybody Come Clap Your Hands をリリースした。

とても素晴らしいR&Bだ。




Moody & The DeltasーEverybody Come Clap Your Hands です。



翌65年、トニー・ジャクソンが抜けたあとのサーチャーズのアルバムにこの曲が収録されている。

ブリティッシュのビートスタイルにアレンジされると違って聞こえるから面白い。






















スポンサーサイト



コメント

No title

こんばんはーー

なんだか無茶苦茶なストーリーですね(笑)なんでも有りですね(笑)

金木犀は、ある日、突然匂いたちますよねー、家の団地の金木犀も香ってます!

サーチャーズ!爽やかでクラップハンドが軽快で良いです!

No title

大すぺくたくるぅ?
なお話なのですね。(*^^*)
記事を拝見しながら、
んで、んで、どーなる?っと前のめりになりました。
スケールが大きなお話ですね🎵

金木犀の香がすると、
深呼吸したくなります。
今日は秋って言うより、寒かったですね~
(^^;)))

No title

umeさん、この人の話はどれもむちゃくちゃなんです。
そこがたまらない魅力なんですよ~

ちなみに水狐族は、諏訪湖底に眠る信玄公の棺を守っています。
暴こうとすると呪いを受けるんです。

いつもは匂いがしてから金木犀が咲いたのに気づくんだけど、今回は直前に気づきました。
そちらではもう咲いてますか~

サーチャーズは聴きやすいでしょう~

ナイス有難うございます~

No title

addisonさん、この人の長編はどれも大スペクタクルです。
収拾がつかなくって投げ出すんだけど、この作品は珍しく完結してます。

そうですね。今日は本当に寒かったです。
こんな日はおでんを食べたくなりますよね(笑)

金木犀は明日花開くと思うので深呼吸してみます~(笑)

ナイス有難うございます~

No title

先に先にと恐る恐る気持ちが早るストーリーですねぇ!

いい曲です!大好物です!!
思わず手拍子(笑)で体が動きます
2曲共毛色が変わって同曲とは思えないくらい
聞き惚れてしまいました。
師shoの好きな金木犀です
と、言う事は次は銀木犀ですか~?
何で今まで知らなかったんだろう?!

No title

チャミきんさん、忘れていたので読み直したら一気読みでした。
この人はとにかく面白いです。

この曲、気に入ってくれましたか~!
それは嬉しいなあ~
同じ曲だけど随分違いますよね。

銀木犀はあまり知られて無いかもです。
金木犀と違って、花数も少ないのでひっそりと咲く目立たない花なんです。

ナイス有難うございます~

No title

すみません・・表紙が怖いです( ̄Д ̄)
タイトルも怖いです

今眠くてよく頭回ってないから明日の朝もういっかい来ます・・

No title

じむこさん、ははは~一応この時代の恐怖小説なんですよ。
怖いのは当たり前かな。

ちゃんと明日の朝来てね~そしたら「君づけ」でもいいから

ナイス有難うございます~

No title

> sho*ha*ng*5さん

「八ヶ嶽の魔神」当時750円だそうですが
今でいえば、どのくらいお金として
遣いでがあったのか、興味があります

紹介ありがとうございます。

No title

まりっぺさん、この頃コーヒー代、ラーメン代が同じような値段だった思います。コーヒー代150円→180円→200円と毎年上がっていって、ラーメン代も同じように上がっていったと記憶してます。
この頃、シングル代が400円になってたはずで、レコードがいかに高価だったか想像がつくと思います。

この本は、当時の値段としては高い方ですね。

ナイス有難うございます~

No title

何だか話の展開が早くて主役が誰かわからなくなりそう('∀`)
ドロドロしてそうだけど予想のつかない面白さがありそう~♪
紫蘇の種はそのまま落として来年の楽しみにするのね♪
サーチャーズのほうと全く違った感じに聴こえるけど
かっこいいわね('∀`)

No title

joeyさん、内容紹介は、はしょったので、少し難しく見えたかもしれないけど、例によって、ストーリーは一直線的ではなく、あっちへ飛びこっちへ飛びした奇想の連続です。
この作品では、作者がこの子が主人公と最初に断っているので、混乱することは無いです。
触れなかったけど、水狐族は魔術を使うので、水狐族が守る諏訪湖中の信玄公の棺を暴こうとした諏訪家の若殿が、怒りを買って魔法をかけられ、余命数日のところで、主人公が術を破って救い出したりします。
国枝史郎の桃源社版はもう1冊予定されていて(実際に刊行されたかどうかは確かめてない)、それは読んでない。
代わりにポプラ社の短編集があるので、次回はそれを紹介しましょう。
とにかく3大奇書と呼ばれる「神州纐纈城」「蔦葛木曾桟」「八ヶ嶽の魔神」はどれをとっても面白いです。

紫蘇の種は、そうです。
そうやって毎年重宝するんです。

サーチャーズで聴いていたと思うけど、オリジナルも感じが違っていて、とてもいいですよね。
Moody Scott はず~っと現役活動をしていて、最後のレコーディングが04年のコンピ盤でした。

No title

桃源社版には、(知る限り)他に

血煙天明陣・血曼陀羅紙帳武士
http://weirdplanet.ocnk.net/product/1034

国枝史郎 妖異全集(短篇集)

猫の蚤とり武士(ポピュラー・ブックス)があります。

>『八ヶ嶽の魔神』
八ヶ岳と諏訪湖、山霊と水霊という対立軸に、鏡葉之助が翻弄されていく、という構図はよくできていると思います。

水狐族にも、守矢一族というモデルがあり、荒唐無稽な一方で、リアリティがある…

No title

こんばんは!

「八ヶ嶽の魔神」....φ(・ω・ )メモメモ

確かに複雑そうですが(笑)面白そうですね。この作品は
図書館には無かったので、いつかゲットして読んでみます♪

金木犀は、何処からともなく香ってくる感じが秋だな~♪
という気がして好きです。散歩してるとすぐにわかります。
青紫蘇の花は小さくて可愛いですね♪

Moody & The Deltas!

聴いてると暖かくポカポカな感じがしてきてイイです♪(^ω^)

サーチャーズVerはまだ未聴でしたけど、ビート感が増して
カッコいいアレンジになってますね♪どちらもこの時期には
ピッタリな感じがしました。(・∀・)ゞ

No title

weirdさん、巻末広告では近刊として「血曼陀羅紙帳武士」がメインで、同時収録が「血煙天明陣」とあるけど、写真を見る限り、「血煙天明陣」がメインになったんですね。
この近刊が実際に刊行されていたのを知って、宿題がひとつ解決しました。

もう2冊、刊行されたんですね。
2冊とも、ボクがこの本屋さんへの興味を失ってからの企画のようですね。
手元にある桃源社のどの本にも巻末広告が無いから。

守矢一族、これは知りませんでしたよ。
解説でも触れてないし。

No title

ぶーさん、最新の河出版にはこの作品もラインナップされてると思います。
誰かが借り出し中か、これからの刊行なのかもしれませんね。
筋立てがイチバン複雑なのは「蔦葛木曾桟」です。
比べたら、この作品のほうがまともなストーリー展開です。
「神州纐纈城」並みと思えばいいです。

金木犀は今日咲きました。
咲くと途端にいい香りが庭中を浸しますね。
例年、蕾のときは気づかず、匂いがしてから気づいていたんだけど、今年は珍しく、蕾のときに気づきました。
紫蘇の花は終わり近いです。
2,3週間前ならもっとびっしり咲いてました。
これから実をつけるので、来年のために、あと一ヶ月は抜かずにこのままです。

Moody & The Deltas はもう1、2枚ほど出したそうだけど、こけたのでグループも解散したようです。
サーチャーズヴァージョン、初めてでしたか~!
このアルバムは、サーチャーズファンの間でも、それほど評価が高くないせいですね。

ナイス有難うございます~

No title

「八ヶ嶽の魔神」、河出では、まだ出ていません。 講談社の大衆文学館(文庫)か、学研M文庫の「伝奇の匣」①国枝史郎篇が最近の版です(といっても、十年以上前ですが…)

どうせなら、学研版のほうがいいと思います。
守矢一族のことが詳しく解説されているし、初期の戯曲も収録されているので…

戯曲は、メーテルランク風で、いかにもロマン派的。国枝のルーツがよくわかります。

No title

weirdさん、学研M文庫とは穴ですね。
取り上げていたんだ~!

手元に八木昇氏の著書目録があるんだけど、最初が明治43年8月刊の脚本集「レモンの花の咲く丘へ」、2番目が戯曲集で大正6年5月刊の「黒い外套の男」3冊目が初めて小説集となり大正14年1月刊の「紅白縮緬組」です。この作品はショートショート集。
初期の戯曲というのは「黒い外套の男」ですね?

No title

「レモンの花の咲く丘へ」です。
時代は、騎士の盛んなりし頃。場所は、レモンの花の咲く南の国で、「神秘的、ローマン的のこの作(国枝)」を自費出版したもの。

小川未明もこの作をほめていたそうです。

「伝奇の匣」シリーズには、芥川や村山槐多の珍しい作を集めた巻もあります。

No title

> weirdotalesさん、最初の作品ですか~!
西洋ものなんですね・・珍しい。

学研と言うだけで、M文庫もスルーしてたけど、意外な穴作品が収録されてるんですね。
本格的に調べてみます。
情報有難うございます~

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

showhanng55

Author:showhanng55
マイナーな60年代ビートミュージックと駄洒落、読書レビュー。

月別アーカイブ

全記事表示リンク

フリーエリア